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【憲法無効論】 中川八洋氏と憲法無効論 (下)

次は、中川八洋氏の著作、『国民の憲法改正』からの一部引用です。原文の段落は、本エントリでは一行余白としています。

中川八洋 国民の憲法改正 01 *書籍の画像は 紀伊國屋書店 BookWeb より拝借

当時のわずか十四宮家しかないのにそのうち八割を廃止するという一九四七年十月の革命は、敗戦のどさくさで日本政府部内に潜む赤い政府高官たちの暗躍でそうなったのである。GHQ(連合国軍総司令部)は「皇室財産の解体」と「皇族の特権の廃止」を命じたが、十一宮家の皇族離脱には全く関与していない。この一九四六年五月にあった皇族の特権の廃止も、皇族の財産を洗いざらい公開させるのが目的で、「皇室財産の解体」作業の一つであった。だが、これらはすべて一九四七年二月までに完了していた。

一九四六年二月三日、マッカーサーがホイットニー民政局長に手渡した憲法改正三原則のうち、「皇族」に言及したのは第三項の「皇族(Imperial family)を除き」だけであった。「宮家皇族の削減」などGHQは一言もいっていない。(*2)

「(第一項) 天皇は国の元首の地位にある。皇位は世襲される」
「(第三項) 華族の権利は、皇族を除き、現在の一代以上には及ばない」

二月十三日に日本側に渡されたGHQ憲法草案にも、次の第十三条の文中にある「皇族のそれを除き」のみであった。

「華族としての権利は、皇族(Imperial dynasty)のそれを除き、現在の一代限りとする」(*3)

また、皇室典範が現憲法の施行の直前に改正させられたが(一九四七年一月十六日、施行日は憲法のそれと同じ)、皇族については「附則(2) 現在の皇族は、この法律による皇族とし、・・・・・・」とあり、あの十一宮家はいまだ皇族であった。つまり、この十一宮家の臣籍降下は、不自然にも新・皇室典範の施行から半年もたったずっと後のことである。十一宮家の臣籍降下を画策した「犯人」たる、日本政府の官庁の高官の氏名をこれからの現代史研究において明らかにしなければならない。

「降伏後における米国政府の初期対日方針」の一つとしての皇室財産の解体の理由はいろいろ憶測されているが、この理由はともあれ、それによって、一九四七年二月二十日に皇室は財産税として三三億四二六八万一二九〇円という巨額を納付した。お手元には僅かしか残らなかった。このGHQの皇室財産解体の方針は現憲法にそのまま記載された。現憲法第八条の「皇室に財産を譲り渡し、・・・・・・」と、第八八条の「すべて皇室財産は国に属する・・・・・・」である。この両条項の存在は、現在の憲法がGHQと占領下の日本政府との間の占領にかかわる "契約書" であったことを示している。日本国憲法は、通常の憲法でなく、あくまでも占領行政当局と被占領国の間の契約書である。

話を戻す。この皇室財産の解体によって、皇室全体の財政が逼迫し、この事態が日本側の赤い官僚に悪用されて十一宮家の臣籍降下が余儀なくされていった。一九四七年五月三日施行の新憲法と皇室経済法に従い、一九四七年四月からの国の予算の中にこの十一宮家の経費を皇族費として計上すれば何ら問題は生じないのに、日本政府の大蔵省は、十一宮家の皇族費(国全体の予算の中では微小な額)を政府予算案の中に一円も計上しなかった。十一宮家が臣籍降下せざるをえないよう、大蔵省主計局がペン先一つで追い込んだのである。"兵糧攻め" である。敵対的分子と目された国民には食糧の配給をせず餓死に至らしめている北朝鮮の金正日のやり口に似ている。十一宮家つぶしの真犯人、それは大蔵省であった。


(*2) 『日本国憲法制定の過程I』、有斐閣、一〇〇頁。
(*3) 同上、二七四頁。

中川八洋著『国民の憲法改正』(ビジネス社、2004年) P.56 ~P.58
原文中の著者による傍点は省略。
アンダーラインは拙者による。



日本国憲法が「占領行政当局と被占領国の間の契約書」、つまり「占領契約書」であることはお認めになっていらっしゃると判断できます。すなわち、日本国憲法は「占領契約書」として有効であるという意味にとることができます。

ならば、そのような「占領契約書」の内容を改正(更新)しても、「旧・占領契約書」が「新・占領契約書」になるだけなのであり、「旧・占領契約書」が「新・占領契約書」になった瞬間に、日本国の憲法としての正統性がポコッと出現するわけではありません。

これは、たとえば、「日本国憲法を破棄して、新しい自主憲法を創設しよう! 」などという数多の「保守派」や自称「保守」、自称「真正保守」、自称「日本保守」等々に対しても、同じことが言えます。日本国憲法が「自主憲法」や「新憲法」へと改まった瞬間に、日本国の憲法としての正統性がポコッと出現するわけではありません。

戦後特有の何らかの体制とそこから生じる種々の利権を保守したい「戦後体制保守派・占領体制保守派」ならば、「占領契約書」に日本国の憲法としての正統性があるのだ!と言うべきです。その立場は、いわゆる「敗戦革命」があったとし、かつその「革命」を礼賛し、「革命」の成功を拝み続け、さらなる「革命」の成功や進展を願い続ける立場です。畏れ多くも
先帝陛下に刃を向ける立場というべきです。そのような、「占領契約書」に日本国の憲法としての正統性があるのだ!とする立場が、真正の保守のとる立場ですか?と。

また、「占領契約書」の内容を変更するということは、今度は「一九四六年」のときとは異なり、占領からは解かれたはずの日本国民がその多数の総意をもって、日本国憲法すなわち「旧・占領契約書」の条項なり条文なりに基づいて、「新・占領契約書」の内容に同意することにほかなりません。日本国憲法が憲法として有効であるとの視座を持ってこれを改正するなら、その先には「新・占領契約書」が出現するのです。「同意」といえば言葉は美しいかもしれませんが、なにしろ「占領契約書」でありますから、これは占領される側、すなわち日本国と日本国民の、意思に基づく「服従」であります。「旧・占領契約書」を改正(更新)してできるものは「新・占領契約書」であり、「新・服従契約書」であり、「新・従属契約書」であります。

そして、左様な「占領契約書」を何卒宜しく擁護したいとする点においては、世の、日本国憲法のいわゆる改正派ないし改憲論支持者も、いわゆる護憲派ないし護憲論支持者も、同じであります。それどころか、左様な「占領契約書」を、「時代に合うように改正・改変・更新」してまでも擁護したい!とする、日本国憲法のいわゆる改正派ないし改憲論支持者は、いわゆる護憲派ないし護憲論支持者よりも反日の濃度や執拗性においては勝るとも劣ることはないかもしれません。この「新・服従契約書」は、数多の保守系大先生らによって「新憲法」とか「自主憲法」などといったタイトルを与えられ、「新・服従契約書」を策定することを或る者は「日本国憲法の破棄」などと大嘘をぶち上げ(言ってる本人はそれが大嘘であることが判っていない)、或る者はそれを「自主憲法の制定」と豪語し、はたまた創価学会の憲法でもあるまいし「創憲」などと称するわけです。

「保守派」曰く、対等の日米関係を希望しながら、日本国憲法の改正なる「新・服従契約書」を渇望する。あるいはまた、講演の前半では連合国(妄信的通称:国連)の安全保障理事会の常任理事国のイスを希望すると表明しておきながら、その後半においては「新・従属契約書」調製の必要性を披露する。これが数多の「保守派」や自称「保守」、自称「真正保守」、自称「日本保守」等々、「保守派」や「保守系」の連中の精神の全力であり、少なくとも現段階における彼らの脳髄(本能!)の発育水準なのです。

話は少し逸れましたが、やはり「憲法改正」と命名されているだけあって、『国民の憲法改正』には、それ全体を通じて、真正の大日本帝國憲法護憲論ないし真正の日本国憲法無効論を語るには大きく欠けているものがあります。大日本帝國憲法の現存を認知する説明であります。


以上の小考察を踏まえ、一応の結論です。

有効論であり、無効論とはならず、しかも極めて不完全な無効論のようにもうかがえるその理由は、中川先生の大日本帝國憲法の現存の認知の如何、その辺りにあるように推測する次第ですが、いかがでしょうか。





考えのままに書いていると、以上の分量の3倍程度になりましたので、一旦ここで区切りをつけてアップしました。
残りの内容については、適当に分割・再構成して、タイトルも改めて、アップしたほうがいいかなぁと思います。





【関連エントリ自選】

oyoyo Memo Blog 愛すべき「保守派」のアナタへ 仙谷由人のこと
oyoyo Memo Blog 11月29日こそ、憲法記念日であります。


【「帝國憲法の現存」関連のリンク】

YouTube - 8-1 大日本帝国憲法現存論講義 弁護士 南出喜久治
YouTube - 1/6 大日本帝国憲法現存論(質疑応答編)南出喜久治
大日本帝国憲法は現存しています - 動画共有サイトzoome
沖縄県民斯ク戦ヘリ「大日本帝国憲法」現存証明
【新無効論】講和条約説 「日本国憲法」は憲法として無効です!
國體護持塾 - 國體護持總論


【「無料ですが英文です」なページ】

コーク、ヒューム、ブラックストーン、バーク、ハミルトン、オークショット等の著作や論文が閲覧できます。

英米系の真正の保守の思想ないしその哲学の眼光は、日本の真正の保守の思想ないしその哲学の在り処を、少なくともそれに到る道程を、正しく照らし出すと小生は考えています。正しい日本国憲法無効論は、決して何らかの偏狭な、日本国内の一部だけでしか通用しない主義主張ではないのです。そのようなイデオロギーとは無縁であります。それを考察する際に欠くことのできない真正の思想、真正の哲学の紡ぎ出した糸口の一端が、オークショットならオークショットの著作の一行に、ハミルトンならハミルトンの著作の一節にあります。

Online Library of Liberty
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